実は、介護サービスにはいくつもの公的な補助制度があります。今日は、「子が支える立場」として知っておきたい制度と申請の流れを整理してみました。
65歳以上の人(または40歳以上で特定疾病のある人)は、国民健康保険でも介護保険の対象者になります。最初に「要介護認定」を受けて、必要なサービスを選びます。
利用者の所得によって負担割合が変わります。
サービス利用時はケアマネージャーさんがプランを立ててくれるので、金額も事前に確認できます。
申請先:親御さんの住む市区町村の介護保険課や地域包括支援センター
持ち物:介護保険被保険者証、印鑑、本人確認書類など
介護サービスを使っていると、自己負担が思ったより高くつくことも。そんなときに使えるのが「高額介護サービス費制度」。
1か月の自己負担額が上限を超えた場合、超えた分が戻ってきます。たとえば年収が770万円未満の世帯なら、上限は月44,400円ほど。
申請すれば、翌月~数か月後に払い戻しされます。
申請先:親御さんの住む市区町村の介護保険担当窓口
持ち物:高額介護(介護予防)サービス費支給申請書、本人名義の通帳またはキャッシュカード、介護サービス利用明細書、領収書、介護保険被保険者証、印鑑(認印でOK、マイナンバーカードまたは本人確認書類 など
下記は2024〜2025年あたりの改正後データを元に整理しています。
「年収」と記載されている部分はおおよその目安で、「課税所得」や「課税年金収入+その他所得」などで判定される場合があります。
| 区分 | 対象となる世帯(年収目安) | 自己負担上限(月額) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護・市町村民税非課税で老齢福祉年金受給 | 15,000円 |
| 第2段階 | 市町村民税非課税世帯で、年金+その他の合計所得が年80万円以下 | 15,000円 |
| 第3段階① | 市町村民税非課税世帯で、合計所得金額が80万円超~一般並み未満 | 24,600円 |
| 第3段階②(一般所得者) | 年収目安 約81万円以上~約383万円未満 の人(市町村民税課税あり) | 44,400円 |
| 第4段階(現役並み所得者Ⅰ) | 年収約383万円以上~約770万円未満(所得税課税あり) | 93,000円 |
| 第5段階(現役並み所得者Ⅱ) | 年収約770万円以上 | 140,100円 |
親御さんが低所得なら、自治体ごとにある助成制度もチェック。
例としては――
自治体によって名前や内容が異なるので、「〇〇市 介護 助成金」で検索すると早いです。
| ステップ | あなたができること |
|---|---|
| ① 相談 | 市区町村や地域包括支援センターに「介護保険を使いたい」と相談 |
| ② 要介護申請 | 書類記入や訪問調査に付き添ってあげる |
| ③ ケアプラン作成 | ケアマネージャーと一緒に希望を整理 |
| ④ サービス開始 | 負担割合や助成制度を確認 |
| ⑤ 補助申請 | 「高額介護サービス費」や自治体助成を申請 |
| ⑥ 継続フォロー | 介護内容や請求書を定期的にチェック |
こうして見ると、子どもが“お金を出す”よりも、“制度を探す”ことが支えになるんですよね。

こうしてみると、親の住む自治体で申請を必要とすることが多いですね。離れて暮らす家族が支えるとなると、物理的距離がネックになりそうです。
介護は“いざ”というときに動くと、ほんとうに大変。でも、制度を知っているだけで、家計も気持ちもかなり軽くなります。
親のために使える制度を知って、「支え方の選択肢」を増やしておきましょう。
介護はひとりで背負わなくていい。仕組みをうまく使えば、親もあなたも安心して暮らせます。
親が60代になると、少しずつ「もし介護が必要になったら…」という現実が近づいてきます。
だからこそ、介護が始まる前に「お金の話」をしておくことが大事です。
いざ介護が必要になってから慌ててしまうと、本人も家族も余計にストレスを感じてしまいます。
特に私たち子育て世代は、子どもの教育費と親の介護費が重なる時期があるため、家計へのインパクトはとても大きいものになります。
事前に共有しておくと、いざというときの選択肢も広がり、家族みんなが納得して介護をスタートできると思うのです。
両親と離れて暮らす場合、なかなか顔を合わせて話す機会も限られていると思います。私も年に1度あるかないかの頻度でしか帰省できていません。限られた時間ではありますが、そのなかで将来に備える会議時間を作ってみませんか。
以下、親子で話しておきたい介護に関するチェックポイントをまとめてみました。
| 項目 | 内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 健康状態・医療 | 現在の持病・通院状況・将来の希望 | ☐延命治療は希望するか? |
| 介護の希望 | 在宅介護 or 施設介護 | □できれば自宅?施設でもOK? |
| 介護資金 | 親の年金・貯蓄・保険の有無 | □貯蓄はあるか □年金はどれほど出るのか □介護費はどこから出すか |
| 自宅・不動産 | 持ち家の有無、処分の意向 | □自宅をどうするか(維持?売却?贈与?) □所有している不動産の詳細 (農地、山林、建物) □農地はどうするか(維持?売却?贈与?) |
| 家族の役割分担 | 誰が中心になるか、兄弟姉妹の関わり方 | □介護休暇を取れる人はいるか □日常生活の手助けは誰ができる? |
| 公的支援制度 | 要介護認定、介護保険の利用方法 | □申請手続きは誰がする? |

今年も冬に帰省する予定があるので、その際に話し合ってみたいと思います。
介護のお金は「まだ先だから」と後回しにしがちですが、親が60代のうちに話しておくと安心感が違います。また、認知症が始まると正常な対話ができない可能性もあります。
教育費と介護費のダブル負担を乗り越えるため、未来の家計簿をイメージしながら、早めに家族会議をすることが大切です。

介護や相続のことはなかなか切り出しにくい内容ですが、私は両親に対して、子供を思うのであれば早めに準備していこう!と声かけしています。
貯蓄なし、国民年金の両親を介護施設に入居させた場合に、どの程度不足するのか(子が負担する必要があるのか)計算してみました。

インフレ傾向が強い昨今、お金が目減りする、って良く言われますね。
将来の金額を算定し、ライフプランをイメージしてみます。
終価係数(しゅうかけいすう)とは、
「今のお金を利率◯%で運用したら、将来いくらになるか」を計算するための係数です。
応用して「今後〇%ずつ物価が上がった場合、将来いくらになるか」を想定することができます。
式は割とシンプルで、
終価係数 = (1 + r)^n
たとえば年利2%で10年間運用するときの終価係数は
(1+0.02)^10 ≒ 1.219。
つまり「今の100万円が、10年後には約121.9万円になる」ということになります。
よくわからない…。計算苦手…。と思っても大丈夫です!
ネット上に計算できるサイトがたくさんあります。
私のおすすめは「高精度計算サイト keisan」さんです。
昨今の物価上昇率は消費者物価指数でみると3%前後となっています。
例)今年:10,000円 → 1年後:10,300円 → 10年後:13,440円
今年10,000円の商品が10年後には13,440円お金を出さないと手に入らなくなる
減債基金係数(げんさいききんけいすう)とは
未来の大きな出費に備えて「毎年いくらずつ積み立てたらいいか」を教えてくれる係数です。
将来「必要額 FV(Future Value)」が決まっているときに、一定利率 r で n 年間積み立てをしたら、毎年いくら積み立てればいいか?
数式は以下の通りです。
減債基金係数 = r ÷ ((1 + r)^n - 1)
「毎年の積立額 A」 を求めるときは、
A = FV × 減債基金係数
よくわからない…。と思ってもご安心を!
「高精度計算サイト keisan」さんで計算できます!
例)年利3%で積み立て運用し、10年後に200万円貯めたい
→毎年8.7万円ずつ積み立て複利運用する
私の背景は以下の通り。実家問題は全面的に子である私、兄、姉で解決しなければならないと思っています。
終価係数・減債基金係数を用いて、介護費用の見積もりと、その対策のためにいくら準備していく必要場あるかを実際に試算してみます。
自分の場合、両親が遠方に住んでおり、将来的に2人暮らしになる見通しです。
まずはどちらかの介護(排泄補助等)が必要になった状態で介護施設へ入居するケースを想定してみます。
親が施設に入るのは 20年後。
今の360万円を「20年後のお金」に置き換えるときに使うのが終価係数。
インフレ率(物価上昇率)を2%と仮定し計算した結果が以下通りです。

つまり、今の物価で360万円かかる介護費用は、20年後には 500万円超える可能性がある。
そして30年後には650万円を超える試算になりました。

親の年金から支払うことも含め、自分が備える金額を想定してみます。
国民年金を20~60歳まで納めた場合の年間年金受給額はひとり当たり約83万円です。
2人分の年金を充当すると、不足分は以下のように想定されました。

入居10年間の合計不足金額は4,600万円超という結果になりました。

5,000万円近い金額。ちょっと正直、ひとりでこの額を賄うのは厳しいです…。
試算してみて無理のある金額になったため、条件を変えてシュミレーションしてみました。
以下のように条件を変えました。
上記条件で以下内容となりました。


父、母のどちらかのみ民間施設へ入居する場合、10年間の不足分は1,257万円となりました。

それでも自分の老後費用、教育費に加えてこの金額を貯蓄していくのは無理じゃない…?20年かけて毎年どの程度積み立てて運用していく必要があるのでしょうか?
将来の一定期間後に目標金額を得るために、毎年の積立額を算出するのに使用するのが「減債基金係数です。
年利2%と想定し、1,257万円貯めるための年間積み立て金額を計算すると以下の通りになります。

20年後に目標金額を目指す→毎年51.5万円を積み立て運用する(毎月4.3万円)
30年後に目標金額を目指す→年間32.4万円を積み立て運用する(毎月2.7万円)

積み立て運用額を、年間金額・月間金額にまで落とし込むと、なんだか準備できそうな気がしますね。

入居しない方の親が施設を利用するようになった場合も、別途計算して加味する必要がありそうです。また、実際に介助する場面の多いカエ子姉、又はカエ子兄の金銭的・心理的負担も考慮したいものです。

今後のライフプランを家族間で擦り合わせるたたき台として、まずはプランを作成してみてはいかがでしょうか。