個人賠償責任保険は必要?知らないと怖い“もしもの現実”

地方の限界集落に生まれ都市部在住の2児の母。農学部卒、林業業界経験あり。子どもと親、どちらの“未来”も見つめる世代として、“がんばる”と“幸せ”のちょうどいい間を探すブログです。

ヘルス・マネー・ライフ
3つの資産を育てながら、生き方を整えるヒントを発信します。

海野カエ子をフォローする
マネー

子どもや自転車、ちょっとした不注意から…

私たちの生活の中って、「まさか」の連続ですよね。

子どもが友達の物を壊した、自転車で歩行者にぶつかった、洗濯機のホースが外れて階下に水漏れした…。どれも、ニュースやSNSで見かけるような出来事ですが、実際に自分や家族に起きてもおかしくない気がします。まじめに生きていても、ちょっとした不注意や、偶然の重なりで起きてしまうことがあります。

そんなときに関係してくるのが「個人賠償責任保険」。他人にケガをさせたり、物を壊したときの損害を補償してくれる保険です。


保険がないとどうなる?賠償金は「借金」と同じ扱い

個人賠償が発生して保険に入っていない場合、そのお金は自分で払うしかありません
民法では「不法行為による損害賠償責任」とされ、法的な債務(=借金)になります。

たとえば、示談や裁判で「300万円を支払うように」と決まったら、その瞬間からあなたの“負債”になるということです。

もし支払えなければ、分割払いで対応することもありますが、相手が納得しない場合は給料や預金が差し押さえられることも。それでも払えないときは、最終的に「自己破産」を検討することになります。


自己破産とは?

自己破産とは、簡単に言うと「もうどう頑張っても借金が返せません」と裁判所に認めてもらう手続きのこと。認められると、借金の支払い義務が免除される代わりに、一定の財産を手放したり、
クレジットカードやローンがしばらく使えなくなったりします。

つまり、「一度リセットできるけれど、代償も大きい」状態です。

たとえば、過去には高校生が自転車事故で歩行者に重傷を負わせ、約9,500万円の賠償命令が出たケースもあります。この金額、普通の家庭では到底払えません。もし保険がなければ、本人や親の人生に長く影響してしまうんです。

カエ子
カエ子

準備した教育資金や老後資金も計画がなかったことに…。他人事とは思えません。


ただし、全ての賠償が帳消しになるわけではない

自己破産しても、すべての損害賠償が免除されるわけではありません

たとえば、わざと起こした事故や、飲酒運転などの「重大な過失」があるケースでは免除されません。もちろん、保険も適用外です。重大な過失を犯している場合も保険適用されてしまうと、保険が犯罪を誘発しているとみなされるでしょう。

一方で、「不注意で人にケガをさせた」「子どもが他人の物を壊した」など、うっかり系の事故なら免除されることもあります。

ですが、手続きには時間がかかりますし、なにより精神的にかなりつらい道です。


「個人賠償保険に入っておけばすべて安心!」と思われがちですが、実はカバーできる範囲とできない範囲がきっちり分かれています
ここを理解しておくと、無駄なく・漏れなく保険を組み合わせられます。


個人賠償責任保険の対象・対象外

対象

基本的に「日常生活で他人に損害を与えたときの賠償」を補償します。つまり、“法律上の損害賠償責任”が発生したケースです。

たとえばこんなとき

  • 子どもが他人の物を壊した
  • 自転車で人にケガをさせた
  • ベランダから物を落として通行人に当てた
  • ペットが他人を噛んだ
  • 家の水漏れで下の階に被害を与えた

こうした「過失(うっかり)による損害」は、だいたい補償対象になります。

さらに、まるごとマモルのようなタイプだと

  • 別居の親や子まで対象
  • 示談交渉サービス付き
  • 賠償金額“無制限”

などが多く、一般家庭の想定リスクはかなりカバー可能です。


対象外

ここが盲点になりやすいポイントです。「すべてのトラブル=保険対象」ではありません。

代表的な除外例を挙げます。

① 故意による損害

わざと壊した・傷つけた場合は対象外。
(例:子どもがケンカで相手のスマホを叩き壊した → 故意なので×)

② 自分や家族のケガ・物損

他人への損害しか補償されません。
(例:自転車同士でぶつかって自分がケガ → ×。相手のケガ → 〇)
自分のケガは「傷害保険」など別の保険でカバーする必要があります。

③ 自動車・バイクでの事故

ここは完全に別枠。
自動車・原付・125cc超のバイクは「自動車保険」または「自賠責保険」が対象です。
(電動キックボードなども最近は注意!)

④ 業務中・仕事関係の事故

会社の仕事中や副業中のトラブルは対象外。
(例:配達バイト中に歩行者にぶつかった → 業務中なので×)
→ 業務で起きた損害は「事業活動保険」「労災」などの領域。

⑤ 自分の家や持ち物への損害

火災で自宅が燃えた、家具が壊れた、など「自分の損害」は対象外。
これは「火災保険」や「家財保険」でカバーする領域。

⑤名誉棄損・プライバシー侵害

SNSに不用意な投稿をして誰かを傷つけた、写真を無断でアップした──
こういった精神的損害(人格権の侵害)は、個人賠償責任保険では補償対象外です。

これは「人や物の損害」ではなく、「名誉・信用・プライバシー」といった無形の権利侵害だからです。実際、保険約款では「名誉棄損、侮辱、信用棄損等に起因する損害は除外」と明記されていることが多いです。

たとえば:

  • インスタに友人の悪口を書いた → 名誉棄損で訴えられた → ✕
  • 勝手に他人の写真をSNSにアップ → プライバシー侵害 → ✕
  • レビュー投稿でお店の評判を下げてしまった→営業妨害で訴えられた → ✕

こうしたケースは、個人賠償ではなく「個人情報漏えい保険」や「ネットトラブル専用保険」の領域です。最近では東京海上やau損保などが「SNSトラブル対応型」も出してます。


まとめ:備えは“日常+デジタル”の2本立てで

リスク対応する保険
子ども・日常のうっかり事故個人賠償責任保険
自分や家族のケガ傷害保険 or 医療保険
自動車・バイク事故自動車保険(賠償+人身)
火災・水漏れなどの家の損害火災保険・家財保険
業務中のトラブル労災・事業活動保険
SNSやネットでの名誉棄損・プライバシー侵害ネットトラブル保険

つまり、「個人賠償保険=日常生活のトラブル対策」。
命や家を守るレベルの大きなリスクは、他の保険と組み合わせて守るのが現実的です。


保険で“人生のリスク”を消しておく

個人賠償保険は、内容にもよりますが年間2,000〜3,000円ほど。たったカフェ数回分の金額で、何千万円というリスクから家族を守れるなら、入って安心を買いたい派です。

特におすすめなのは、

  • 示談交渉を代わりにしてくれる(精神的にも助かる)
  • 家族全員が補償対象(別居の子や親まで含められることも)

こうした条件があるタイプです。たとえば日本生命の「まるごとマモル」も、別居の親まで対象で、年2,360円。コスパはかなり良いと思います。

こういった、別居中の家族も保障をしてくれたりするケースや、自動車保険に特約を付与していて忘れていたりする場合もあるので、加入を迷ったらまずは自分や家族の保険を確認してみましょう。


まとめ:備えは“安心の貯金”

保険って、使わなければ損した気になるもの。でも、個人賠償保険は「何も起きなかった」ことが最高の結果です。

万が一が起きたときに、「保険に入っててよかった」と心から言えるように。家族を守る安心の仕組みとして、個人賠償保険は持っておくべき備えです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました