メンタル資産とは、「心の貯金と投資」
お金と同じように、心にも“資産”があります。それが、メンタル資産。
この資産が多いと、多少のストレスや失敗があっても立ち直りが早い。逆に、資産が少ないと、ほんの一言や小さなミスでもぐらついてしまう。
私自身、1人目の育児と仕事の両立に必死だった頃、この“メンタル資産”を完全に使い果たしていました。毎日、心の口座がマイナスに転落していくような感覚。
いま振り返ると、あの時こそ「運用」が必要だったんです。
ウェルビーイングとは
最近よく聞く「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉。直訳すれば「幸福」ですが、実際の意味はもっと深いのです。
世界保健機関(WHO)は、こう定義しています。
「身体的・精神的・社会的に良好な状態」
つまり、「病気がない」だけでなく、「心が安定していて」「人とつながり」「自分らしく生きている」状態。
ウェルビーイングとは、“人生の全体がバランスよく回っている感覚”なんです。
メンタル資産運用=ウェルビーイングを支える基盤
ウェルビーイングを目指すには、心の調子を“貯める・守る・増やす”という考え方が大事。
これが、いわゆるメンタル資産運用。
精神医学や心理学では、「感情の安定」「自己効力感」「社会的つながり」「意味づけ」などが
幸福度と強く関連することがわかっています。
つまり、幸せは偶然じゃなく、日々の行動で再現できる資産なんです。
学術的にエビデンスがある「心を整える方法」
精神医学・神経科学・行動医学のエビデンスがある心を整える行動をいくつか挙げてみます。
1. 軽い運動(特に有酸素運動)
科学的根拠:
ウォーキング・ジョギング・サイクリングなどの軽い有酸素運動は、脳内の「セロトニン」「ドーパミン」「BDNF(脳由来神経栄養因子)」を増やします。これらは抗うつ薬と同じ経路に作用し、ストレス耐性を高めるのだとか。
具体的に:
・1日20〜30分、週3〜5回
・ウォーキングで6000〜8000歩(通勤・買い物でOK)
・育児中なら「子どもと散歩」「抱っこでスクワット」でも同様の効果
2. マインドフルネス瞑想
科学的根拠:
米ハーバード大学やスタンフォード大学の研究で、8週間のマインドフルネス訓練によって扁桃体(不安を感じる脳部位)が縮小し、前頭前野(感情のコントロールを司る部位)が活性化することが確認されています。
具体的に:
・朝3〜5分、呼吸に意識を向ける
・「呼吸」「体の感覚」「今見ている景色」をただ観察
・アプリ(例:Calm、Insight Timer、日本語ならRelookなど)も有効
3. ジャーナリング(書くことで整理する)
科学的根拠:
テキサス大学のペネベーカー博士の研究では、「感情を言語化して書く」ことでストレスホルモン(コルチゾール)が減り、免疫機能も向上することが報告されている。
具体的に:
・1日10分、思考や感情をノートに書き出す
・“事実”と“感情”を分けて書くと整理しやすい
・感謝ノートも効果大(ポジティブ心理学の研究で幸福度UP)
4. 睡眠の質を守る
科学的根拠:
スタンフォード大学・西野精治氏らの研究によると、「就寝90分前の入浴」「朝の日光浴」で体温とメラトニンのリズムが整い、深いノンレム睡眠を得やすくなります。睡眠は感情調整や記憶統合を司るため、心の安定に直結します。
具体的に:
・就寝2時間前に湯船に10〜15分浸かる
・朝、カーテンを開けて日光を浴びる(5〜10分でOK)
・寝る直前のスマホ使用を減らす
5. ソーシャル・サポート(つながりを持つ)
科学的根拠:
オックスフォード大学の社会神経科学研究で、「信頼できる人との交流」はオキシトシン(愛着ホルモン)を増やし、ストレスホルモンを下げることが示されています。
具体的に:
・週1回でも誰かと会話する(オンライン含む)
・“愚痴を言える相手”がいること自体が保護因子になる
・家族や友人、コミュニティを“資産”と捉える
6. 小さな達成体験を積む
科学的根拠:
脳の報酬系(ドーパミン経路)は“進行感”に反応します。目標を達成することで「自分はできる」という自己効力感(Self-efficacy)が高まり、うつ・不安のリスクを下げるそう。
具体的に:
・「今日やることを3つ」書いて、終わったら線を引く
・“完璧”ではなく“進んでいる”を意識
・育児や家事も「ひとつのタスク」として記録してOK
まとめ:医学的に正しいメンタル資産運用の6原則
- 軽い運動(6000歩前後でOK)
- マインドフルネスで脳を整える
- 書いて感情を言語化する
- 睡眠を「投資」として守る
- つながりを持つ(孤立を防ぐ)
- 小さな達成で自己効力感を積む
この6つを続けるだけで、脳の回復力・思考の柔軟性・ストレス耐性がすべて底上げされます。
つまり、心の“複利運用”が始まるということです。
ウェルビーイングを「心のポートフォリオ」で整える
株式投資と同じで、心の資産もリスク分散が大切。
たとえば:
- 運動 → 体の資産
- 睡眠 → 回復の資産
- 書く → 思考の資産
- 人との関わり → 社会的資産
- 自己効力感 → 心の基礎資産
これらをまんべんなく少しずつ“積み立て”ることで、心の資産は安定して複利で増えていくでしょう。
育児と仕事を両立するための「メンタル資産ポートフォリオ」
今の私のポートフォリオはこんな感じ👇
- 40%:心と体の資産回復(睡眠・食事・散歩)
- 30%:感情の収入(感謝・笑い・達成感)
- 20%:時間の空白資産(予定を詰めすぎない)
- 10%:思考のリスク管理(「無理なら仕組みを変える」マインド)
1人目のときは、この配分がほぼゼロでした。
睡眠を削り早朝は勉強、夜は持ち帰り残業、家事も育児も仕事も完璧を目指す。
全部「がんばり」で埋めようとしていました。新しい部署での復職、慣れない1人目育児、頑張れば乗り越えられる、居心地の良い時間が訪れる、そう思っていたのです。
結果、体も心もすり減って“複利どころか元本割れ”でした。しわ寄せは全て子どもにいきました。
思い出すといまでも心が苦しくなる時期です。いますぐに何かを変えなければ取り返しのつかないことになると思い、転職をしました。繰り返してはならないと今だから思えます。
復職を控える今、私が決めていること
育休中のいま、私は“再投資期”にいます。
- 朝はブログ執筆(思考の整理と自己効力感を得る)
- 昼は1~2時間の散歩(健康維持と脳の回転をよくする時間)
- 午後は子どもと公園へ(子どもとの時間、パパママと社会的に繋がる時間)
- 夜は「今日楽しかったこと」を子どもと話し早めに寝る(達成感を感じながら睡眠への投資)
そして復職後は、無理に“理想の両立”を追わないと決めています。
できなかったら時短も転職も選択肢。「壊れるくらい我慢する」だけは二度としない。
それが、私のメンタル資産を守るルールです。
さいごに
「私も同じように感じてる」と思った人へ。
あなたの心の資産は、まだ十分に価値があります。焦らず、比べず、自分のペースで運用していきましょう。
メンタルの複利は、静かに、でも確実に育ちます。
わたしもポートフォリオを変えながら、今日も心の資産運用を大切に過ごします。



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